日本植物病理学会報
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酵素免疫検定法によるアブラナ科野菜根こぶ病菌休眠胞子の土壌および植物組織からの検出
折原 詳子山本 孝〓
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1998 年 64 巻 6 号 p. 569-573

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抄録

アブラナ科野菜根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae Woronin)の休眠胞子に対する抗血清を作製し,酵素免疫検定法(ELISA, DIBA, TBIA)を用いて人工汚染土壌および罹病植物根組織から根こぶ病菌休眠胞子の検出を試みた。供試抗体は微量沈降法で2048倍希釈まで反応した。検出感度についてはELISAとDIBAでほぼ同じ結果が得られ,休眠胞子は抗原に用いた純化試料懸濁液で1×102個/mlまで,罹病根組織磨砕液では1×102∼1×103個/mlまで検出できた。休眠胞子密度が1×108個/g乾土になるよう作製した人工汚染土壌から調整した土壌懸濁液を希釈して供試した場合には,ELISA, DIBAともに1×104個/mlまで検出することができた。TBIAでは,罹病根組織内の休眠胞子を特異的に検出でき,罹病根組織内での休眠胞子の存在部位を観察することができた。また,抗血清は供試したSpongospora subterranea, Polymyxa betaeを含む他の19種類の土壌病原菌のすべてに対して交叉反応を示さなかった。

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