日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
16S, 23S rDNAおよびrDNAスペーサーのPCR-RFLP解析に基づくXanthomonas属pathovar間の遺伝的関係
落合 弘和加来 久敏
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 65 巻 4 号 p. 437-446

詳細
抄録

Xanthomonas属細菌各pathovarとStenotrophomonas maltophiliaの系統関係を明らかにするために,PCRで増幅した3種類のDNA断片,16S rDNA, 23S rDNAとrDNAスペーサー(ITS)についてそれぞれ10種類の制限酵素によるPCR-RFLP解析を行った。その結果,供試したXanthomonas属細菌は,それぞれ16S rDNAの多型解析では7つのタイプ,23S rDNAの多型解析では8タイプが検出された。これら2つの結果を総合すると,Xanthomonas属細菌は13種類のrDNA型に分類された。このrDNA型に基づいたクラスター解析の結果,供試したXanthomonas属細菌はsubgroup 1, 2と命名した2つのグループに類別され,さらにそのクラスターは近縁属であるStenotrophomonasとは区別された。一方,ITSに基づく多型解析では,20のタイプが見いだされ,rDNAと同様に2つグループに類別された。また,おのおののグループに属する菌株群は,rDNAの解析に基づくものと一致した。以上の結果から,Xanthomonas属細菌は,系統的には少なくとも2つのグループで構成されていることが示唆された。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top