日本植物病理学会報
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ベントグラス葉腐病菌Rhizoctonia solani AG2-2 IIIBの生存様式
景山 幸二北村 文男青柳 岳人百町 満朗
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1999 年 65 巻 5 号 p. 521-525

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抄録

ベントグラス葉腐病菌Rhizoctonia solani AG2-2 IIIBのクリーピングベントグラスグリーンにおける生存様式について検討した。本菌は,発病がみられないときでも分離率は低いものの植物体から分離された。さらに,発病前および後のクリーピングベントグラスを採取し,高温多湿条件に置くと発病がみられた。このことから,本菌は年間を通じて発病がみられないときでもクリーピングベントグラスターフ中に生存し,本菌にとって環境条件が好適になり宿主の感受性が高くなると発病に至ると考えられた。生存形態に関して調査したところ,薬剤処理に関係なく発病時に本菌の菌核がベントグラス葉鞘基部に観察され,病原性が認められた。また,発病時以外には植物残渣からは本菌の分離はみられなかった。以上のことから,菌核がベントグラスターフ中でのR. solani AG2-2 IIIBの生存形態と考えられた。

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