日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
浄水ケーキに混入するPythium aphanidermatumの発酵熱による殺菌
大志万 浩一東條 元昭佐藤 裕隆角田 真一小堀 英和
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 66 巻 3 号 p. 205-213

詳細
抄録

河川から取水した水を上水に精製する過程で発生する沈殿物(以下,浄水ケーキ)を園芸用培土として利用するために,浄水ケーキ中のP. aphanidermatumが殺菌される堆積発酵の温度条件を調べ,殺菌効果を高めるための方法を検討した.P. aphanidermatumが死滅する最低限の熱処理条件をインキュベーターを用いて調べたところ,45°C, 7日間であった.屋外実験では,50m3の浄水ケーキを2.5mに積み上げて堆積山を作り,3週間間隔の切返し操作を行って発酵させた.P. aphanidermatumを接種した浄水ケーキをナイロンスクリーンに封じて堆積山の内部に埋没したところ,44°C以上の温度が7日間以上持続した部位で本菌が殺菌された.P. aphanidermatumが自然に混入した発生直後の浄水ケーキを切返し操作のみの管理で約3か月間発酵させたところ,P. aphanidermatumが全く検出されなくなった.ビニールシートによる堆積山の被覆は,風雨の影響による温度低下を防ぎ,発酵による温度上昇を促進して本菌の殺菌効果を高めた.また,浄水ケーキへのバーク堆肥の混合によっても発酵による温度上昇が促進され,P. aphanidermatumの殺菌効果が高まった.

著者関連情報
© 日本植物病理学会
次の記事
feedback
Top