日本植物病理学会報
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日本におけるスイカ果実汚斑細菌病の発生
白川 隆菊池 繁美加藤 智弘我孫子 和雄川合 昭
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2000 年 66 巻 3 号 p. 223-231

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抄録

1998年,山形県の育苗業者の苗が腐敗枯死する病害が発生した.その後,露地栽培下のスイカ果実に暗緑色から黒褐色で亀裂を伴う不整形大型病斑が形成された.これらの病斑から分離した細菌菌株は,スイカ実生の子葉,本葉に不整形病斑を形成すると共に胚軸に水浸状条斑を形成して腐敗した.果実に付傷接種すると,接種部位から細菌泥を漏出し,その後,果皮に水浸状斑を形成,内部は軟化腐敗した.接種果から採種した種子に由来する実生は,発芽時に発病した.スイカの他に供試した7種のウリ科野菜及びトマト,ナスに病原性を示した.この内,キュウリ,ユウガオ,カボチャ,トウガンに強い病原性を示した.分離細菌は,一本の極鞭毛を有するグラム陰性の好気性桿菌で,オキシダーゼ活性が陽性で4°Cでは生育できないが41°Cで生育した.その他の細菌学的性質を調査し,分離細菌をAcidovorax avenae subsp. citrulliと同定した.本病の我が国での発生確認は今回が初めてであり,本病の病名としてスイカ果実汚斑細菌病(bacterial fruit blotch)を踏襲したい.

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