日本植物病理学会報
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Verticillium biguttatumを用いたRhizoctonia solaniによるテンサイ苗立枯病および根腐病の生物的防除
佐山 充本間 善久竹中 重仁
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2001 年 67 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

Rhizoctonia solani AG2-2-IVを繰り返し接種した北海道札幌市および河西郡芽室町の耕地土壌から菌寄生菌23菌株を分離した.分離菌株の多くはR. solani AG2-2-IVによるテンサイ苗立枯病を抑制したがその程度は菌株により異なった.分離菌株の中から最も抑制効果の高かった2菌株(HV8株,HV10株)を選抜した.これら2菌株は施用量が多いほどテンサイ苗立枯病に対する抑制効果が高く,またテンサイ種子へのR. solaniの寄生を強く抑制し,特に5%の濃度で処理した場合にはPCNB (40ppm)処理と同等の抑制効果を示した.また両菌株はテンサイ根腐病に対しても,株元への1回処理および苗床,植穴,株元への計3回処理で明瞭な抑制効果を示した.光学顕微鏡観察の結果,分離菌株はR. solani菌糸の生細胞に寄生し,本菌侵入後にR. solaniの菌糸が死に至ることが明らかとなった.分離Verticillium属菌は,形態と生育温度からいずれもVerticillium biguttatumと同定された.

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