日本植物病理学会報
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Trichoderma sp. SKT-1株による6種のイネ種子伝染性病害の発病抑制効果
熊倉 和夫渡辺 哲豊島 淳牧野 孝宏市川 健伊代住 浩幸永山 孝三
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69 巻 (2003) 4 号 p. 393-402

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抄録

Trichoderma sp. SKT-1株は,分生子懸濁液の種子浸漬処理により,ばか苗病に対して4×104∼1×106個/mlの処理菌量で対照のイプコナゾール・銅フロアブルの種子消毒とほぼ同等の,苗立枯細菌病,もみ枯細菌病および褐条病に対して2×105∼1×106個/mlの処理菌量でオキソリニック酸水和剤の種子消毒とほぼ同等の高い発病抑制効果が認められた.また,育苗期に発生するいもち病およびごま葉枯病対しては,1×107個/ml処理で,対照のイプコナゾール・銅フロアブルの種子消毒とほぼ同等の発病抑制効果が認められた.SKT-1株をイネ種子または育苗培土に処理しても,出芽不良,生育抑制および立枯症状などの病徴は認められなかった.SKT-1株のばか苗病および苗立枯細菌病防除活性は分生子処理および遠心分離により洗浄した分生子処理で明らかに認められたが,オートクレーブにより死滅させた分生子および分生子懸濁液の上清液では認められなかった.SKT-1株は,浸種期および催芽時の処理で,ばか苗病および苗立枯細菌病に対して高い発病抑制効果が認められた.播種後の処理では,ばか苗病に対しては低菌量処理区で発病抑制効果が低下し,苗立枯細菌病では殆ど発病抑制効果が認められなかった.ベノミル併用によるSKT-1株の発病抑制効果消失時期を調べたところ,ばか苗病では播種1日後までの併用処理,苗立枯細菌病では播種時処理までの併用処理で発病抑制効果が消失したものの,それ以降の併用処理では発病抑制効果が発現された.

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