日本植物病理学会報
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二次代謝産物を指標にした3種のジャガイモそうか病菌のTLC法による簡易識別
眞鍋 佳世田代 暢哉根岸 寛光陶山 一雄松山 宣明
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2005 年 71 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

紫外線で検出可能な放線菌の二次代謝産物を指標としたジャガイモそうか病菌の簡易迅速識別を試みた.Bennett寒天平板培地で3種のジャガイモそうか病菌Streptomyces scabies, S. acidiscabies, S. turgidiscabiesをそれぞれ25°Cで5日間培養後,菌叢を寒天ごと3∼5mm角に切り出し,ガラス製管瓶中で有機溶媒により二次代謝産物の抽出を行った.抽出溶媒として用いたメタノール-ジエチルエーテル(2:1, v/v),メタノール,アセトニトリルのなかでは,精度,簡便さ,迅速性の点でアセトニトリルが最も適していた.アセトニトリル抽出物をシリカゲル薄層プレートにスポットし,クロロフォルム-メタノール-アセトン-酢酸-水(55:20:4:4:2, v/v)を用い,25°C, 90分間展開後,暗所において紫外線(波長365nm)を照射して観察した.得られたスポットパターンから3種のジャガイモそうか病菌は明確に識別され,本法はジャガイモそうか病菌の簡易迅速識別法として有用であることが示された.

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