日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
木材腐朽菌の代謝生理に關する研究(摘要)
平山 重勝
著者情報
ジャーナル フリー

1938 年 8 巻 1 号 p. 9-22

詳細
抄録

1. さるのこしかけ科に屬する木材腐朽菌數種に就き異りたる炭素源を含む合成培養基上に於ける呼吸現象を觀察し,その炭素源の利用價値につき考察を行へり。
2. 六炭糖及五炭糖は等しく木材腐朽菌により良好なる炭素源として利用せらる。
3. 芳香族炭水化物は一般に之等の菌に利用さるゝ程度低く,就中カテコール,キノン,サリテル酸,安息香酸等は常に菌の代謝に對し激しき毒性を示せり。雖然,芳香族炭水化物中にも菌種により容易に利用せらるゝものあり。之の事實はベンゼン核を有すると考へらるゝリグニンの破壞の機構に就きて一つの説明を與ふるものと云ふを得べし。
4. 無酸素状態に於て木材腐朽菌は一般に無氣呼吸を行ふも,その強さは菌種によりて大差あり。即ちセルローズ溶解菌は常にリグニン溶解菌に比し無氣呼吸強きを認めたり。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top