日本植物病理学会報
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黄蜀葵の疫病
田杉 平司池田 義夫
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1939 年 9 巻 2 号 p. 69-85

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抄録

(1) 本報告に於ては黄蜀葵疫病の病徴並に病原菌の形態,生理につきて記述せり。
(2) 本病は黄蜀葵の各部を侵害し,比較的高温なる時期に多濕なる場合激しく發生す。
(3) 本病病原菌は培養基上に於て分生胞子,厚膜胞子,卵胞子を生ず。
(4) 本病病原菌はコーン・ミール寒天培養基上にて最も良好なる發育をなし,オート・ミール,菜豆及び馬鈴薯寒天培養基上に於ても良好なる發育をなせり。
(5) 本病病原菌は5-37℃の範圍内に於て發育し,適温は27-31℃の間なるが如し。又pH 4.8-6.7に於て良く發育し, pH 5.8内外が最適なるが如し。
(6) 接種試驗に依れば,本病病原菌は錦葵科植物,馬鈴薯,蕃茄,茄,苹果の果實,其他數種の植物を侵害すも,煙草を侵す事なし。
(7) 本病病原菌は從來記述せられたる疫病菌と比較の結果, P. parasiticaの1系統と認む。

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