日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
稻熱病菌分生胞子の形成と空氣濕度との關係竝に病原性を異にせる菌系分生胞子發芽の特性に就きて
逸見 武雄井村 純三
著者情報
ジャーナル フリー

1939 年 9 巻 3 号 p. 147-156

詳細
抄録

1. 本論文に於ては,稻熱病々斑上に於ける病原菌分生胞子形成に及ぼす空氣濕度の影響と,病原性を異にせる菌系の分生胞子發芽の特性に關する實驗的研究結果とを記載せり。
2. 稻熱病菌は空氣關係濕度93%以上の場合に,容易に病斑上に分生胞子を形成し得れども,濕度高き場合程その形成幾分旺盛なる傾向あり。
3. 空氣關係濕度88%以下にては,病斑擴大するも,その上に分生胞子の形成を見ることなく, 89%乃至90%にては稀にその形成を見るも,その數極めて僅少なり。
4. 稻熱病菌分生胞子の發芽率及び發芽管の伸長度と病原性との間には,何等の相關々係なきが如し。
5. 本實驗に於ては,病原性強き第9號菌は病原性弱き第25號菌に比し, 1個の分生胞子に生ずる發芽管數多き傾向を示せり。然れども病原性中位なるか,又は穗頸と稻苗とに於て病原性を異にする菌系につきて見るに,必ずしも中間傾向を示さざるを以て,病原性と發芽管數との關係も尚今後の研究に俟たざれば斷定し難し。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
次の記事
feedback
Top