性格心理学研究
Online ISSN : 2432-695X
Print ISSN : 1345-3629
長期化する精神健康の問題と自然災害
藤森 立男
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1998 年 7 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

本研究は北海道南西沖地震から10カ月後及び2年3カ月後に, 精神健康調査表(GHQ28)を用いて最も深刻な被害のあった奥尻島青苗地区の被災者の精神健康を検討した.主要な結果は, 以下の通りである.精神障害の有無を判定する閾値点が6点以上のハイリスク者は10カ月後では76.6%, 2年3カ月後では68.0%であり, 災害による精神健康への影響が長期化していた.また, 2年3カ月後のデータに基づき, ハイリスク者の発生に寄与するリスク要因を分析した結果, 最も相対危険度の高いのは仕事や家事の回復状況の要因であり, 回復していない人は回復している人の3.76倍の危険度であった.次に, 相対危険度の高いのは被害程度の要因であり, 重度の被害を受けた人は軽度の人の3.61倍であった.さらに, 相談相手のいない人はいる人の2.58倍, 50歳以上の人は50歳未満の人の2.27倍となっていた.これらの結果から, 被災者の実情に即した心理的・社会的支援体制の必要性と災害研究の今後の課題を考察した.

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© 1998 日本パーソナリティ心理学会
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