心身医学
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過食嘔吐後に低血糖による痙攣を来したBulimia Nervosaの1例
鈴木 裕也
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キーワード: 神経性過食症, 痙攣, 低血糖
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1996 年 36 巻 7 号 p. 595-599

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抄録

神経性食欲不振症や神経性過食症の経過中にてんかん様の痙攣発作が観察されているが, その発生機序は不明のままであった。今回, 過食嘔吐後にてんかん大発作を来した神経性過食症(DSM-III-R)の1女性例を呈示した。発作時の血糖値は46mg/dlであった。過食後のIRI値が血糖値に比し高く, 嘔吐後に反応性低血糖が起こり, カテコールアミンやグルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの反応はみられないことが原因と考えられた。低血糖発作のあと翌朝まで続く遷延性の頭痛が観察された。本例は神経性過食症にみられる痙攣と過食嘔吐後の反応性低血糖との因果関係を示した最初の報告例である。

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© 1996 一般社団法人 日本心身医学会
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