抄録
59名の18〜30歳までの健常女性を対象にしてPOMSを施行, 同時に早朝, 安静空腹下で採皿, 採尿し, ACTH, コルチゾール, カテコールアミン3分画, IL-6, TNF-αおよびNTx, B-ALPを採取し, POMSとの関連, および血液, 尿中成分の相互関連をみた. コルチゾールが高い群ではTNF-αが有意に低く, IL-6が高い群ではTNF-α, NTx, NTx/B-ALP比およびPOMST-A(緊張-不安)得点が有意に高かった. POMST-A得点は最近の情動ストレスを反映するとされ, 短期的なストレスはIL-6を上昇させ, 骨吸収を促進することで細胞内カルシウム濃度を維持する機構を駆動させるものと考えられた. 大うつ病の患者では視床下部-下垂体-副腎系(HPA-axis)の機能亢進が生じ, 副腎皮質ホルモン(以下, コルチゾール)による骨吸収促進が起こり, 骨量減少をきたすことが報告されている. 並行してセリエのいう疲弊期になると, 全自律神経機能低下, 副腎髄質機能低下および副腎皮質機能異常, 胸腺の萎縮などが生じ, 免疫能が低下することも報告されている.