2006 年 46 巻 3 号 p. 215-222
本研究の目的は, 摂食障害とアレキシサイミア傾向の関連を, 健康な対照群との比較から検討することである.68名の摂食障害女性患者〔神経性食欲不振症制限型(AN-R)28名, 神経性食欲不振症むちゃ食い/排出型(AN-BP)25名, および神経性過食症排出型(BN-P)15名〕と236名の女子学生を対象に, 日本語版Toronto Alexithymia Scale-20 (TAS-20)ならびに日本語版Eating Attitude Test-26 (EAT-26)を用いて自己記入式質問紙による調査を施行した.その結果, 摂食障害患者においては病型に関係なくアレキシサイミア傾向が強いことが明らかになった.また, TAS-20の下位尺度である"感情の同定困難"と摂食障害の症状の重症度との間に関連が認められた.以上により, 摂食障害患者の治療においては, アレキシサイミアを考慮したアプローチが重要あることが示唆された.