抄録
ホメオパシーは疾患が対象ではなく病気の人に個別的に働きかけるpatient-centered medicineである.病気の人を包括的に理解し,その人の全体像を1つのパターンとしてとらえ,それに類似したパターンをもつホメオパシー薬が病気の人のもつ自然治癒力に働きかけ,回復に向かっていくと考えられている.同様に森田療法は病気の原因を追求するよりも,症状への悪循環(とらわれ)を断ち切り,その人がもつ自然治癒力をいかに引き出すかに重点を置いている.今回,成人型アトピー性皮膚炎と遷延化したうつ病を提示し,ホメオパシーと森田療法の併用による回復過程を紹介する.