2009 年 49 巻 10 号 p. 1085-1087
自己臭症(口臭)は自分から漏れ出る嫌な口臭の確信と関係念慮を特徴とする.近年歯科において自己臭症は認知され,速やかに精神科医に紹介するのが望ましいとの認識ができつつある.しかし実際には自己臭症とはわからずに侵襲的治療に導入されたり,トラブルになってから紹介されるケースが少なくない.一つの理由として,歯科ではスケーリングなど,予防としての処置を健常人にも適応していることが挙げられる.処置に至るハードルは低い.適切なインフォームド・コンセントがなされていない場合も多い.歯科医が心と体を分離して患者を診ていることが疾患の無理解につながっている.