抄録
歯科患者の一部は,歯科医師および医師による心身医学・精神医学的な対応を要するが,その認知度は比較的低い.はじめに,歯科心身医療の現状を把握するため『日本歯科心身医学会雑誌』の11年間の論文を総覧した.その結果,主な対象疾患は舌痛症,顎関節症,口臭症(口臭恐怖症)であり,また,それらの"いわゆる歯科心身症"は,主に大学病院や総合病院の口腔外科で対応されており歯科の心療科は少数であった.現在,歯科心身症は明確な定義が示されておらず,臨床では広義の心身症の概念が用いられていると考えられた.今回,心身医学・精神医学を専門としない医療者にも応用可能な患者の分類と対応法を提示し,また,医療連携のあり方を述べた.