目的:妊婦の肥満は周産期リスクと強い関連がある.体重管理は日常の生活スタイルに左右されると考えられ,妊婦の認知と行動の分析が必要である.本研究は,肥満妊婦と非肥満の妊婦はリスク認知ならびに生活行動に違いがあるという仮説を検証した.方法:妊娠12週から出産前までの妊婦110名を対象とした.妊婦のリスク認知と生活行動を評価するPregnancy Behavior Scale(PBS)を用い,質問紙調査ならびに個人面接を行った.非妊娠時body mass indexと妊娠中の体重増加量をもとに,妊婦の生活行動とリスク認知の関係を分析した.結果:PBSの因子分析の結果,生活行動として,医療と連帯した生活行動,緊急時対処法の理解,妊娠考慮した日常生活の3尺度を得た.リスク認知として,楽観視・慎重視の2尺度を得た.非肥満の妊婦と比較し,肥満妊婦は妊娠リスクに楽観視を示した(p<0.001).また,妊娠中の体重増加量高群と比較し,低群は高率に保健指導を受けていた(p<0.05).体重増加量低群と比較し中群・高群は本や雑誌から情報収集している率が高かった(p<0.05).結論:本研究では,肥満妊婦と非肥満の妊婦はリスク認知や生活行動に違いがあることを明らかにした.専門家は妊婦に対し適切な情報提供を行い,生活改善のために情報を活用させる必要性が示唆された.