心身医学
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過敏性腸症候群患者のアウトカム評価法
金澤 素篠崎 雅江遠藤 由香相模 泰宏庄司 知隆William E. Whitehead本郷 道夫福土 審
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2010 年 50 巻 4 号 p. 271-275

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抄録

治療満足度satisfactory relief(SR)は,過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)治療のプライマリー・アウトカム評価として用いられている.しかし,どのような要因がIBS患者の治療アウトカムに影響されるかについては詳細に検討されていない.われわれは,IBS患者のSRは治療前の症状重症度,医師-患者関係,心理的因子によって影響されるかどうかを検証した.調査開始時に,症状重症度,精神症状を,主治医からの症状に対する保証感を評価した.さらに,調査6ヵ月後にSR,症状重症度,精神症状を評価した.その結果,症状重症例では,最も重症度スコアの改善が大きかったにもかかわらず,最もSRが認められにくかった.保証感が低い患者は高い患者に比較してSRを認めにくかった.調査開始時の身体化スコア,抑うつスコアが高い患者ほど,SRを認めにくかった.以上より,アウトカム評価を考えるうえで,IBS患者のSRは症状重症度だけでなく,心身医学的要因によっても左右されうることを考慮する必要がある.

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© 2010 一般社団法人 日本心身医学会
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