2011 年 51 巻 12 号 p. 1088-1097
わが国における食生活の欧米化とモータリゼーションの発展は,確実に高カロリー摂取と低エネルギー消費をもたらした.その結果,2型糖尿病,高脂血症,高尿酸血症,高血圧,冠動脈疾患が急増した.これらは,生活習慣がその発症と進展に深く関与していることから生活習慣病と呼ばれるようになった.欧米では生活習慣病に対して,薬物療法と並び,生活習慣の変容法が重要な治療として位置づけられている.その治療の中核を担っているのが認知行動療法である.本稿では,生活習慣病に多くみられる肥満に対する認知行動療法に焦点を当てて述べる.