心身医学
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家族が患者の手を握る行為の有用性
蓮尾 英明神原 憲治阿部 哲也三枝 美香石原 辰彦福永 幹彦中井 吉英
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2012 年 52 巻 2 号 p. 134-140

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抄録

認知機能が低下している患者とのかかわりに対して,家族が無力感を感じていることは多い.その中で,家族が患者の手を握りながら寄り添っている光景をよくみかける.そこで,手を握る行為が患者の自律神経機能に与える影響を客観的に評価することは,家族の自己効力感の向上につながると考えられた.今回,家族が手を握る行為による患者の胃運動機能の変化,その結果の説明による家族の自己効力感の変化を評価した.対象は,胃瘻による栄養を受けている認知機能の低下した癌終末期を含む患者とその付き添い家族の計13組とした.胃運動機能は,体外式超音波で評価した.家族の自己効力感は,一般性自己効力感尺度などで評価した.結果は,家族が手を握る行為下では非行為下と比較し,前庭部運動能,胃排出能ともに有意に亢進した.その結果の説明にて,家族の自己効力感は高まった.

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© 2012 一般社団法人 日本心身医学会
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