心身医学
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機能性身体症候群 : 木を見るか,森を観るか(2012年,第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(鹿児島))
福永 幹彦
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2013 年 53 巻 12 号 p. 1104-1111

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抄録

近年,確認できる機能性の異常に比して,強い身体症状を訴える患者を総称して「機能性身体症候群」と呼ぶことがある.これに含まれる患者は,一般外来患者の中にかなりの比率でいる.過敏性腸症候群,機能性ディスペプシア,線維筋痛症,慢性疲労症候群がその代表的なものだ.しかし,すでに機能性疾患として確立したものが多く含まれており,統合的な概念の必要性については疑問も多い.本稿では統合的な概念の意義につき,患者が重なり合う概念の,medically unexplained symptom,身体表現性障害,心身症などとの概念の違いを明らかにすることから検討した.統合的に考えることで,治療に関係するプライマリ・ケア医,各科専門医,精神科医,心療内科医に対して,症候群に共通する治療法を検討するため共通の土台を提供するということが最も大きいのではと考える.

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© 2013 一般社団法人 日本心身医学会
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