心身医学
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ブラキシズムとストレスの関係を明らかにするための質問紙作成の試みとその検討
廣瀬 俊司吉川 悟
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2014 年 54 巻 9 号 p. 867-876

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抄録

本研究の目的は,歯科診療室でブラキシズム患者のストレス状態を客観的指標で表す質問紙の作成を試みることと,医療面接と質問紙法の結果からブラキシズムとストレスの関係を明らかにすることで,ブラキシズムの新しい治療法を考案することである.ブラキシズムは,顎口腔系に破壊的に作用して,補綴処置やインプラント治療で多くの問題を起こす原因になっている.ブラキシズムにはいくつかの関連因子の報告があり,多因子説が主流である.しかしながら,原因は解明されていない点が存在しており,その関連因子の中のストレスに注目した.ストレスはきわめて多義的で,多変量であり,ストレス状態を正しく測定することは難しい.そこで,患者の抱えるストレスの把握には,医療面接に加えて心理テスト(特に質問紙)が有用であると考えた.本研究では,当院受診患者で同意の得られた358名に医療面接および口腔内診査にて,ブラキシズムの診断と質問紙法によるストレス・チェック(Stress Self Evaluation Check List)を行った.ストレス・チェックの質問項目は13問をもとにして,ストレスの構成概念として「心身の疲労」,「怒りの気分」,「抑うつの気分」,という3つの構成概念を検討した後,ストレスと構成概念との関係を明らかにして,ブラキシズムの有無によりストレス度に有意な差が確認できるか検証すると同時に,今後のブラキシズム治療の可能性について述べる.

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© 2014 一般社団法人 日本心身医学会
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