2015 年 55 巻 1 号 p. 34-39
NBMとは「物語に基づいた医療」であり,患者に病の体験を語らせ,患者と治療者がその物語を共有することが重要となる.一方EBMは根拠・統計を重視した「証拠に基づいた医療」ということになるが,患者の物語の中から診断に必要な「情報」を精密に聞き出さなければ,適切なエビデンスを用いることは不可能であり,NBMとEBMは相反するものではなく,両概念は併用あるいは統合されるべき概念と考えられる.気管支喘息のコントロールにおいてわれわれは,EBMだけでなく,「治療的自己」の向上やbio-psycho-socialといった視点で評価を行うNBMを重視することが非常に重要であり,患者の利益および結果的には医療の効率化に貢献すると考えられる.