2017 年 57 巻 1 号 p. 44-50
精神科・心療内科の臨床場面では, 背景に自閉症スペクトラム (ASD) をもつ成人例が多いといわれている. 特に知的障害のない高機能ASD者は, 診断が遅れ, それまでにさまざまな傷つきを経て不適応に至っている例が多いと思われる. われわれは, ASD特性をもつ思春期青年期の若者の臨床像と支援について論じた. 受診した42例について, 過去の心身症症状について検討したところ, 幼少期に心身症症状を呈し, 思春期青年期に気分障害, 不安障害, 摂食障害などに変化していく例が多かった. また, 青年期の適応良好例に前思春期・思春期前期に治療を受けていた者が多かった. 心身症症状として表れる幼少期または前思春期・思春期前期に何らかの治療や支援があると, その後の適応が良好となる可能性が示唆された. また, 摂食障害とASDは共通点も多い. 症例の紹介とともに, 関連性について論じた.