2017 年 57 巻 3 号 p. 227-233
大災害においては, 災害そのものによるトラウマティック・ストレス, 災害による喪失体験による悲嘆反応, その後の生活環境の変化に伴うストレスなど, さまざまな要素がからみあい, 心身症が発症したり, さまざまな身体症状が現れると考えられる. 急性期には心身医学的視点をもちながら身体症状・身体疾患中心のケアを行い, 心のケアのニーズが顕在化する慢性期には身体医療から入り心のケアもともに行い, 復興期には長期にわたるストレスや喪失悲嘆が身体症状化した被災者へのケアを行うなど, 災害のあらゆるフェイズにおいて 「心身医学的支援」 のニーズは高い. 来たるべき災害に備えて, われわれ心身医学専門家にも準備が必要である.