2017 年 57 巻 7 号 p. 744-750
女性外来の受診者は多彩な症状を訴えることが多いが, 器質的疾患による症状であることも少なからずある. 今回, バセドウ病であった症例 (症例1) と, 副甲状腺機能亢進症の治療後にバセドウ病を発症した症例 (症例2), 当科通院中に橋本病を発症した症例 (症例3) を経験したので報告する.
2005年3月の当科開設以来2014年3月までの当科受診者3,553人を主病名で分類した結果, 器質的疾患が約10%であった. 器質的疾患としては内分泌疾患が多く, 特に甲状腺機能異常は当科受診者の約8%にみられたため, 女性外来では甲状腺の視触診と必要に応じた甲状腺機能検査が有効だと考えられる.
器質的疾患が疑われた症例については, 積極的に鑑別診断を行い, 早期の専門医へのコンサルトを考慮する. そして, 器質的疾患が診断された後も専門医と連携を取りながら, 必要に応じて心身医学的アプローチを続ける必要がある.