2018 年 58 巻 3 号 p. 255-260
昨今, 企業・法人は, 従業員の健康維持増進および生産性の向上を目的に健康経営を推進している. 各企業の取り組みでは, ①従業員の意識改革に向けた教育, ②健康行動を起こしやすい, または続けやすくするための環境調整, ③健康行動への意識を高めるような心理的アプローチなど, さまざまな工夫がされていることがうかがえる. 取り組みの効果検証がされた2つの事例においては, 参加中の効果は明らかであるが, 参加率や行動の継続などに課題を抱えていた. 会社全体としての取り組みとするためには参加への動機づけや, 健康行動の継続において工夫が必要であり, それには行動科学との連携が重要な要素であると考えられる. 今後行動科学との連携により, 企業での健康増進活動がより拡大していくことが期待される.