心身医学
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講演
高齢者の 「こころ」 と 「からだ」 の健康に関する要因の探索
―SONIC研究の成果から―
権藤 恭之SONIC研究グループ
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2018 年 58 巻 5 号 p. 397-402

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抄録

わが国を含む先進各国における高齢者人口の増加は目覚ましく, 特に今後85歳以上の超高齢者と呼ばれる年齢層の増加が顕著になると予測されている. しかし, 超高齢者の心理的側面に注目した研究は少ない. 数少ないこれまでの研究では, 超高齢者は身体機能の低下が顕著であるが精神的健康が維持されていることが示唆されている. SONIC研究は, エイジングパラドックスと呼ばれる現象が, 加齢によって生じるのかを検証することを目的とした会場招へい型の学際的な地域疫学調査である.

これまで実施した横断的データ分析の結果では, 先行研究と同じく, 超高齢者は加齢に伴う身体機能の低下にもかかわらず, 精神的健康が低下しないことを見い出した. 背景要因を探索した結果, 老年的超越と呼ばれる高齢期の心理的発達が関与することを見い出した. 今後, 縦断調査を継続し, エイジングパラドックスが, 若い頃と比較した経済状況のような環境の世代差ではなく加齢の影響で生じることを検証する予定である.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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