心身医学
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企画シンポジウム特集/痛みへの心身医学的治療―未来に向けて何が必要か―
緊張型頭痛に対する認知行動療法
本谷 亮
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2018 年 58 巻 5 号 p. 411-417

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抄録

緊張型頭痛は, 慢性頭痛の一種であり, 生活に支障をきたすきわめてありふれた疾患である. また, 緊張型頭痛は, 発症や維持に心理社会的要因が強く関係する神経・筋系の代表的な心身症であり, 生活障害の改善を目的とした心身医学的治療が不可欠であるとされる. 緊張型頭痛への心身医学的治療では認知行動療法が有効である. 今回, 疼痛の心理学的な維持モデルであるfear-avoidance modelに基づく認知行動療法プログラムを作成し, 試験的に実施した. その結果, 緊張型頭痛患者の痛みに対する破局的思考と回避行動が減少し, 生活障害の改善を示し, 3カ月後時点での効果維持を認めた. 本稿では, 緊張型頭痛に対する認知行動理論に基づく維持メカニズム, 上述した生活障害の改善を目的とした治療プログラムを紹介するとともに, プログラム実施における配慮や工夫, 課題について報告する.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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