2018 年 58 巻 5 号 p. 418-422
片頭痛に対する非薬物療法として, 認知行動療法 (cognitive behavioral therapy : CBT) の有用性が示されている. バイオフィードバック療法, リラクセーション法は豊富なエビデンスを有するが, 実施可能な施設が限られているという問題も抱えている. 片頭痛に特徴的な認知の歪みを把握することで, より効果的な認知行動療法を行うことができるのではないかと考え, われわれは臨床研究を行っている. 片頭痛群は健常者群と比較して, 有意に高い身体感覚増幅傾向 (somatosensory amplification) を示した. また片頭痛群において身体感覚増幅傾向は, 痛みに対する破局的思考 (pain catastrophizing) を介して頭痛による日常生活支障度に影響を及ぼしていた. 片頭痛における認知の歪みを複数の視点から把握することで, より効果的なテーラーメイドCBTを開発していける可能性があると考えている.