心身医学
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便秘を自覚する成人女性における体験の回避が腹痛および腹満感の頻度に及ぼす影響
齊藤 早苗嶋 大樹富田 望対馬 ルリ子熊野 宏昭
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2020 年 60 巻 4 号 p. 339-348

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抄録

過敏性腸症候群 (IBS) では, 腹部症状に関連する思考, 感情, 身体感覚などを回避する患者が多いことから, アクセプタンス & コミットメント・セラピー (ACT) の有用性が示唆されている. そこで, ACTの治療標的である体験の回避が, 消化器症状に関連した不安や腹痛頻度および腹満感頻度に及ぼす影響について検討する. 方法 : 便秘を自覚する女性244名 (IBSのRome Ⅲ診断基準を満たした128名を含む) に対して, 腹痛頻度および腹満感頻度, 体験の回避 (AAQ-Ⅱ), 消化器症状に関連した不安 (VSI-J), 抑うつ気分・不安気分 (DAMS) に関する質問紙調査を実施した. 結果 : 構造方程式モデリングの結果, 体験の回避が消化器症状に関連した不安に対して正の影響 (0.30) を示した. さらに, 消化器症状に関連した不安と腹痛頻度および腹満感頻度には有意な正のパス係数 (0.55) が示された (Χ2=1.13, df=2, p=0.57, GFI=0.998, AGFI=0.988, RMSEA=0.000). 結論 : 体験の回避は消化器症状に関連した不安を介して, 腹痛頻度および腹満感頻度に影響を及ぼすことが示された.

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© 2020 一般社団法人 日本心身医学会
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