2021 年 61 巻 4 号 p. 341-346
マインドフルネス療法 (mindfulness-based therapy : MBT) は世界的にエビデンスが増加しつつある心身療法である. マインドフルネス瞑想は異常なストレス応答や痛み行動を改善することが知られている. またMBTは過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) に特有の認知様式である破局視と消化管特異的不安を改善するため, IBSに対する有望な治療法の1つとして考えられている. IBSに対するMBTはいくつか有望なエビデンスを示しているが研究数が少なく, さらなる研究が求められる段階である. 本稿では, マインドフルネスの定義と実践法, 瞑想の神経生理, IBSに対するMBTの効果, そして瞑想の有害事象について概説する.