2022 年 62 巻 6 号 p. 476-481
身体活動の効果は誰もが知るところだが,その習慣化は難しい.これまで,身体活動推進のために行動心理学的な方法が用いられてきたが,2000年頃より身体活動支援環境に関する研究が盛んになった.例えば,地域の住居密度,用途地域の混在度,道路ネットワークなどと身体活動,肥満との関連には多くのエビデンスがある.これらの研究成果に基づいて,健康日本21では「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加」が目標となっている.国土交通省の関心も高く,都市をコンパクトにして歩いて暮らせる地域を作ることが国土開発の目標となっている.社会学的要因は,生物学的要因,心理学的要因とともに人々の習慣を形成し,健康を決定している.日本行動医学会は臨床医学,心理社会行動科学,社会医学の3領域の専門家によって構成されており,bio-psycho-social modelの枠組みで研究の場を提供している.心身医学と社会医学との連携によりさまざまな健康課題の解決が可能になると考える.