本稿では,神経性やせ症患者を対象とした多施設共同脳画像研究の成果を概観した.公刊された報告ではいずれもMRIを用い,脳構造および機能に関する特徴を明らかにしている,まず灰白質体積の検討で,患者において広範な灰白質体積の減少と,眼窩前頭野の体積と症状の間に正の相関があった.次に,拡散テンソル強調画像のグラフ理論解析から,眼窩前頭野や視覚処理系での過剰な結合が認められた.さらに,安静時fMRI解析から前頭前野による認知制御が過剰に行われていること,島皮質と扁桃体の機能的結合の亢進が明らかになった.総括すると,摂食症では構造・機能・結合性の各レベルで広範な脳ネットワーク変化が存在し,これらは症状の多様性を支える神経基盤と考えられる.多施設共同研究はこうした知見の再現性を高めるとともに,心身医学的理解を深め,臨床応用や治療戦略の発展に寄与する可能性がある.