抄録
半月体形成性IgA腎症の8歳女児例を経験した。患児は,学校検尿で尿蛋白3+,尿潜血3+を初めて指摘され,近医での検査でも尿蛋白,肉眼的血尿,低蛋白血症を認めたため当科に紹介された。入院後腎生検を施行し組織所見で67%の糸球体に半月体形成が認められた。IF所見で,IgAの沈着がメサンギウム領域に認められたことより半月体形成性IgA腎症と診断した。診断後すみやかにステロイドパルス療法やカクテル療法などの積極的治療を行った。経過中腎機能低下をきたすことなく尿蛋白は治療開始3カ月で減少し,治療7カ月後に陰性化した。治療3カ月時に施行した再腎生検組織所見では細胞性半月体やメサンギウム細胞増殖の消失がみられ劇的な組織の改善が認められた。発症早期の積極的治療が重要だと考えられた。