2006 年 19 巻 2 号 p. 91-95
神経因性膀胱の内科的尿路管理法としては,清潔間欠自己導尿法と抗コリン薬(塩酸オキシブチニンなど)内服併用療法が標準的治療として推奨されている。塩酸オキシブチニンはムスカリン受容体拮抗作用があり,膀胱平滑筋を弛緩させるが,全身的な抗コリン作用の問題がある。抗コリン性有害事象のため治療継続困難な症例,あるいは標準的治療にもかかわらず膀胱内圧が高く腎機能障害の懸念がある症例には膀胱拡大術が検討されることになる。私たちは,このような例に対し塩酸オキシブチニン膀胱内注入療法を試みてきた。本稿では,現在推奨されている神経因性膀胱に対する尿路管理法を概説し,次に小児神経因性膀胱に対する塩酸オキシブチニン膀胱内注入療法について自験例を示しながら解説する。