日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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原著
小児における長期留置型バスキュラーアクセスの挿入・固定に関する検討
古山 政幸相馬 泉水谷 誠谷口 貴実子上田 博章石塚 喜世伸梶保 祐子藤井 寛久野 正貴近本 裕子秋岡 祐子金子 岩和峰島 三千男秋葉 隆松永 明服部 元史
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2010 年 23 巻 2 号 p. 119-122

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抄録

 カテーテルの出口部が下方を向く挿入・固定法だった1999年から2004年のA群 (6症例) と,カテーテルの出口部を耳介後部から垂直に上方に向けて挿入・固定した2005年から2009年のB群 (3症例) の2群に分け,当院で経験した15歳以下の症例に対する長期留置型バスキュラーアクセス (Vascular Access: VA) についてカテーテルトラブルの発生率・その内容・カテーテルの留置期間を中心に検討した。A群では1症例あたり平均37.7回,B群では21.3回の体外循環血液浄化療法 (Extracorporeal blood purification: EBP) が施行されていた。EBP施行期間の平均は,A群では87.5日間で,B群では61.0日間であった。A群では全例でEBPの中断を余儀なくされたのに対して,B群でのEBP中断症例は1例もなかった。B群では中断や入れ替えを必要とせずにEBPが可能であったことから,カテーテルの出口部を上方に向けて直線的に挿入・固定することで屈曲・閉塞を防ぎ,十分な血液流量を確保できたことがEBPの安全かつ確実な継続に繋がったと考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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