日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
iPS細胞を用いた腎臓再生と新規疾患モデルの作製
長船 健二
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2013 年 26 巻 1 号 p. 64-69

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抄録

 医学的および医療経済的な問題となっている慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)の解決策の一つとして,iPS細胞(induced pluripotent stem cell,人工多能性幹細胞)を用いた腎臓再生医療の開発が期待されている。実験動物を用いた腎臓発生および腎構成細胞の運命決定機構を解明する研究も進展し,それらの知見に基づいたマウスES細胞(embryonic stem cell,胚性幹細胞)から腎臓系譜の細胞を分化誘導する多くの試みもなされてきた。筆者らは,最近,ヒトES/iPS細胞から腎臓を派生させる胎生組織である中間中胚葉を90%以上の高効率で分化誘導する方法を確立した。今後,ヒトES/iPS細胞由来の中間中胚葉から腎細胞への高効率の分化誘導法の開発により,細胞療法や難治性腎疾患に対する疾患モデル作製とそれを用いた治療法開発などの臨床応用を目指した研究への進展が期待される。

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© 2013 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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