抄録
Down 症候群に膜性増殖性糸球体腎炎(以下MPGN)を合併した男児例を報告した。症例は13 歳男児,持続する血尿・蛋白尿・低補体血症のため慢性腎炎を疑い腎生検を施行。病理学的にはMPGN II 型に相当する組織像であり,ステロイド治療を開始したが血尿・蛋白尿・低補体は持続した。そのためシクロスポリンを導入したところ5 か月後に血尿・蛋白尿は消失した。2 年後の2 回目の腎生検において,基底膜への高密度電子沈着物が減少していた。また蛍光抗体法でC3 優位で免疫グロブリン陰性でありC3 glomerulopathy と診断した。以降,シクロスポリン,ジピリダモール,アンギオテンシン受容体拮抗薬,プレドニゾロンによる治療で寛解維持している。Down 症候群は免疫学的異常や易感染症を呈する場合がある。本症例では過去に中耳炎や気管支炎を繰り返していた。Down 症候群の糸球体疾患合併の報告は稀であるが本症のように頻回に感染症の既往のある症例では慢性腎炎発症に留意し定期的な検尿が必要である。