日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
腎代替療法へ移行した結節性硬化症の5 例
山本 千夏宇田川 智宏佐藤 舞小椋 雅夫石倉 健司伊藤 秀一亀井 宏一
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2016 年 29 巻 2 号 p. 149-154

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抄録

結節性硬化症(tuberous sclerosis complex, TSC)患者において,腎合併症は中枢神経や心合併症と並び生命予後を左右すると言われている。2002 年4 月から2010 年3月の間に国立成育医療研究センターで診療した95 名のTSC 患者において腎合併症について調査し,末期腎不全に移行した症例について臨床経過を後方視的に検討した。腎合併症の精査を受けた64 名のうち43 名(67%)で腎病変を合併し,5 名(8%)が末期腎不全に陥っていた。この5 名は全例で血管筋脂肪腫を合併し2 名は多発囊胞(1 名は多発性囊胞腎でTSC2-PKD1 隣接遺伝子症候群と診断)を合併していた。3 名が腫瘍内出血のため両側の腎臓を摘出され,2 名が自然経過で末期腎不全に至っていた。後者のうち1 名では,腹膜透析導入後に囊胞内出血と囊胞内感染を起こして両腎摘出を行った。TSC患者では腎合併症の検索を行い,適切な時期に画像評価や腎機能評価を行いながら腎合併症の増悪を予防することが必要であると考えられた。

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© 2016 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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