日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
インフルエンザウイルス感染とインフルエンザウイルスワクチン接種を契機として小児特発性ネフローゼ症候群の再発を来した6 例の臨床的特徴の検討
藤村 順也石森 真吾神岡 一郎沖田 空親里 嘉展西山 敦史米谷 昌彦
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2017 年 30 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

インフルエンザウイルス (flu)ワクチン接種,flu 感染は小児特発性ネフローゼ症候群 (NS)再発の誘因となるがその詳細を検討した報告はない。今回,flu ワクチン接種または感染を契機としてNS 再発に至った小児6 例を報告する。flu ワクチン接種によるNS 再発が3 例 (以下,ワクチン再発例),flu 感染によるNS 再発が3 例 (以下,感染再発例)で全例が男児であった。flu ワクチン,感染後に全く再発のないNS 例を対象とし,その背景を検討した。ワクチン再発例では,ワクチン接種3 回全てをNS 初発または最終再発から6 か月未満の時期に行っており対照群 (15 回中3 回)よりも多かった。感染再発例においても,flu 感染3 回全てがNS 初発または最終再発から6 か月未満の時期で対照群 (5 回中0 回)よりも多かった。flu ワクチン,感染に伴ったNS 再発には,背景に症例毎の病勢の影響が存在するかもしれない。本検討は症例数が少なく,今後大規模な多施設共同研究が望まれる。

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© 2017 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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