日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
敗血症に対するnon-renal indication としての急性血液浄化療法
坂井 智行
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2017 年 30 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

Non renal indication として実施される血液浄化療法は,病態に関わる物質の除去や補充を目的として実施される。敗血症に対するnon-renal indication としての血液浄化療法は,過剰な炎症性サイトカインを除去し免疫調整による病態改善が目的である。成人敗血症患者ではnon-renal indication として高流量血液濾過やポリミキシンB 固定化カラムを用いた直接血液灌流法,サイトカイン吸着特性をもつ血液浄化膜を用いた持続血液濾過透析が試みられてきたが,それらの有効性を示すエビデンスは存在しない。小児敗血症患者でも同様であり,適切な臨床試験による有効性の検証が望まれる。現状では血液浄化療法の経験不足に起因する諸問題を防ぐため,血液浄化療法と全身状態の管理に習熟している施設に限り,敗血症に対するnon-renal indication は一つの選択肢となり得ると考える。

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© 2017 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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