日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
ネフロン癆―臨床像と診断に向けたアプローチ―
杉本 圭相
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2017 年 30 巻 2 号 p. 112-118

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抄録

ネフロン癆(nephronophthisis: NPH)は,腎髄質に囊胞形成を認める進行性の囊胞性腎疾患の代表であり,小児期の末期腎不全の約5%を占める。組織学的には,進行性の硬化,硝子化糸球体を伴う尿細管間質性腎炎像を呈する。遺伝形式は主として常染色体劣性遺伝を示す。NPH の初期症状は,多飲,多尿,尿最大濃縮能の低下,二次性の遺尿や成長障害であるが,病勢がかなり進行した末期腎不全の状態で発見されることも少なくない。低比重尿や低分子蛋白尿は特徴的な検査所見である。また,NPH は眼や顔貌・骨格異常といった腎外症状を合併するため,診断の手がかりとなる。NPH 発症に関与する責任遺伝子はNPHP であるが,その同定率は約30%にすぎない。近年,全エクソーム解析の進歩により原因遺伝子が増加している。本邦ではNPH の診断基準が作成され,今後,NPH 未確定診断例の確定診断への指針となると思われる。

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© 2017 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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