2018 年 31 巻 1 号 p. 37-43
頻回のステロイドパルス療法が奏功した膜性増殖性糸球体腎炎様の組織像であるISKDC 分類VI 型を呈した紫斑病性腎炎の1 例を経験した。12 歳男児,紫斑病性腎炎の発症時ネフローゼ症候群の合併と病理組織学的に膜性増殖性糸球体腎炎様像を呈しており予後不良と考えられた。多剤併用療法に加えステロイドパルス療法を3クール施行後さらに2 クール行ったところ,不完全寛解まで改善が認められたため外来治療とした。蛋白尿も血尿も軽快していったためステロイドを漸減中止しまた他剤も中止したが,腎炎の再燃は認められていない。中止前の腎生検組織ではISKDC 分類II 型と軽快が認められていた。ネフローゼ症候群の合併や膜性増殖性糸球体腎炎様像を呈した紫斑病性腎炎症は腎予後が不良とされ確立した治療法は存在しないが,頻回のステロイドパルス療法は有効である可能性が示唆された。