日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
腎機能障害を契機に診断された甲状腺機能低下症の1 例
山本 かずな寺野 千香子濱田 陸橋本 淳也武田 良淳原田 涼子石倉 健司幡谷 浩史長谷川 行洋本田 雅敬
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2018 年 31 巻 2 号 p. 167-171

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抄録

腎臓内科医は慢性的な腎機能障害に複数の症状を呈した患者を診療した際には,腎疾患を中心に検索を進めることが多いが,甲状腺機能低下症も鑑別の一つに含める必要がある。我々は腎機能障害に貧血,低身長を合併した症例を甲状腺機能低下症と診断し,治療により可逆的に各種臓器障害が改善した1 例を経験した。症例は11歳女児。偶発的に発見された貧血精査目的で当院他科を受診し,その際からCKD stage 3 の腎機能障害,軽度の肝機能障害を認めていた。腎機能障害の進行と腎性貧血の合併を疑われ腎臓内科に紹介となり,その際に低身長も指摘された。臨床・検査所見より橋本病と診断し,甲状腺ホルモン補充療法を開始した。腎機能障害は3 か月で改善し,貧血,肝機能障害,成長率も6 か月で改善した。甲状腺機能低下症による腎機能障害は可逆性であるため,腎機能障害以外に複数の症状を呈している場合には,甲状腺機能低下症を鑑別に挙げる必要がある。

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© 2018 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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