日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
症例報告
薬剤中止後も著明なカリウムの漏出が遷延した経口鉄キレート剤 deferasirox による Fanconi 症候群の1 例
髙橋 哲朗柴田 映道丸山 篤志中﨑 寿隆津久井 瑞江小林 靖明嶋田 博之粟津 緑
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 34 巻 1 号 p. 73-79

詳細
抄録

重症 β サラセミアの16 歳女性.輸血後鉄過剰症に対し 13 歳時より経口鉄キレート剤 deferasirox (Def) を開始した.5 か月後に低K,低P,低尿酸血症を認め,P を補充した.14 歳時に同種末梢血幹細胞移植を行った.16 歳時に胃腸炎症状に伴い著明な低K,低P,低尿酸血症,腎性糖尿,低分子蛋白尿を認めDef による Fanconi 症候群と診断し,P に加えてK の補充を開始した.Def を減量したが,4 か月後に代謝性アシドーシスも出現し,Def を中止した. 1 か月後に各種溶質の尿への漏出は減少したがK の漏出は遷延し,中止から約 1 年間にわたりK の補充を要した.治療経過からK 漏出は近位尿細管における Na 再吸収障害に伴う遠位尿細管での Na-K 交換亢進が原因と考えた.Def による Fanconi 症候群は近年報告されているが,本邦での論文報告はなく,大量の K 漏出が遷延した Fanconi 症候群は国外からも報告がない.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top