日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
臨床医が知っておきたい腎病理の基礎知識
井藤 奈央子
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 34 巻 2 号 p. 123-131

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抄録

腎病理の光顕診断には PAS 染色と PAM 染色が多用されるが,それらの染色法だけでなく他の染色法の特性も理解することによって,各染色法の意義や有用性を知ることができる.鏡検時,慣れないうちは最初から高倍率で観察しがちだが,観察者の疲労や病変の見逃しを避けるため,まずは低倍率で全体像を把握したうえで,必要な部分のみ高倍率で観察する習慣をつけたい.腎生検の対象となる腎疾患の多くは糸球体疾患であるため,尿細管間質や血管の病変にはなかなか注意が払われにくいが,糸球体以外の病変も丁寧に観察し,稀であっても重要な腎疾患を見逃さないことが求められる.また,糸球体が蛍光抗体法用や電子顕微鏡用の検体に含まれていなかった場合の代替法について知っておくことも有意義である.

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© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会

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