日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
—特に低補体血症遷延例についての検討
西田 吉伸武田 修明河村 一郎佐々木 博田中 陸男
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1996 年 9 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

 過去20年間に当科で治療した溶連菌感染後急性糸球体腎炎の臨床像を検討した。診断は,急性腎炎症状に加え病初期の一過性の低補体血症,溶連菌関連抗体の上昇に重点をおいた。低補体血症が8週以後も持続したものを低補体血症遷延例とすると14例で,全体の16%に該当した。低補体血症遷延例では非遷延例に比べ発症時の血清C3値が有意に低く,発症後3カ月の時点で血尿が続いているものが有意に多かった。浮腫,高血圧,蛋白尿の持続期間には両群間で差は認めなかった。発症後1年では14例すべてで血尿は消失していた。うち2例では,先行感染が不明なこと,血尿が持続することなどから診断確定のために腎生検を施行した。これらではhump様depositsの遷延が認められた。PSAGNは予後良好な疾患と考えられるが,持続する低補体血症がある場合には膜性増殖性腎炎などとの鑑別のために腎生検を考慮する必要がある。

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© 1996 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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